地酒紀行3 赤目の名水で醸す瀧自慢

滝自慢のラベル

 

 名張市赤目という地名で真っ先に思い浮かぶのは、白土三平の名前と、彼が描いた一連の忍者漫画だ。「赤目」は、忍者カムイの師匠の名前だし、「名張の五ツ」という忍者が「カムイ外伝」に登場する。手元に資料が何もないのでうろ覚えだが、「カムイ外伝第2部」にも出ていたような気がする。「名張の五ツ」は、異形であるがゆえに忍者という茨の道を歩まねばならなかった男の、孤独と悲しさを描いた佳品である。

せn 私の個人的な思い入れはさておき、普通、赤目といえば赤目四十八滝だろう。観光地百選で瀑布の代表に選ばれ、昭和26年に記念切手として発売されている。上の写真は、切手になった「千手の滝」だ。実際は五十以上の滝があり、すべての滝を巡ると、健脚でも半日はかかる。修験道密教の修行場でもあり、私が訪ねた日には白装束の人たちが御師に連れられて登っていた。
 「瀧自慢」が、赤目四十八滝から名付けられたことはもうおわかりだろう。赤目滝の伏流水を使って醸された名酒は、平成11年、12年の全国新酒鑑評会で2年連続金賞を受賞した。
 「瀧自慢」は、切れのいい辛口の酒だ。妥協しない味といってもいい。蔵元を訪ねていくつかを試飲させていただき、純米吟醸雄町の斗瓶取りを買った。瀧自慢らしい切れの良さに純米のコクと柔らかさが加わり、私好みのよい仕上がりだった。

<2001年8月3日記>